2011年3月7日月曜日

「損保数理 第10章 リスク評価の数理」を読む(2)

アクチュアリー試験1次試験の指定テキスト『損保数理』に先日の改訂で追加された、第10章 リスク評価の数理を読む。

10.2.1 ブロック最大値モデル(後半)

この小節の後半部分は、(Mn - dn)/cnがGEVに収束すると仮定したうえでのパラメータの推定方法と、適合度の検証方法について。

形状パラメータ ζ はともかく、位置パラメータ μ および尺度パラメータ σ はcn、dnの取り方によるはずだが、cn、dnについては全く触れられていない。なぜかと思いつつ、実際に乱数を発生させて試してみると、どうやらこのテキストの数値はlim (Mn - dn)/cn ではなく Mn がGEVに従っているとして推定しているようだ。

MnはGEVに収束しないのになぜ?、と思ったが、おそらく次のような考え方でないかと思う。

lim (Mn - dn)/cn の分布はH(ζ,μ,σ)に収束する
⇛ nを十分大きくとったとき、(Mn - dn)/cnはH(ζ,μ,σ)に従っているとみなすことができる
⇛ (Mn - dn)/cnがH(ζ,μ,σ)に従っているので、MnはH(ζ,(μ-dn)/cn,σ/cn)に従っている

これにより、Mnの分布がGEVで近似できる。ただし位置パラメータおよび尺度パラメータの値はnに依存する。また、nを無限大にしても位置パラメータおよび尺度パラメータの値は一定の値には収束しないため、nを増やしてもパラメータの推定精度は上がらない。(Nを増やせば精度が上がる)。更に言えば、あるnで推定したパラメータの値を異なるnの時に使用してはならない。

検証方法はQQプロットで視覚的に、というのはこの分野の慣習とかだろうか。


以下は、ガンマ分布がグンベル分布の最大値吸引域に属することの証明


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